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残留農薬という言葉を聞いたことがあるでしょうか。聞いたことはあるけれど、どういうものなのかまでは理解していないという人も多いかもしれません。残留農薬は様々な食品に起こり得るものなので、食品を口にしている以上無関係ではありません。

今回は残留農薬が一体どういうものなのか、なぜ起こってしまうのかなどを詳しく解説していきます。

残留農薬を検査するポジティブリスト制度

そもそも残留農薬とはどんなもの?

残留農薬というのは、除草剤や殺虫剤などの農薬が、何かしらの原因で食品などに残留してしまうことです。私達は野菜やお肉など普段から色々なものを口にしますが、その中に農薬が残留していると思うと怖いですよね。農薬の種類は登録されているものだけでも500種類以上あります。

中には国が許可していない物質もあるので、世の中には膨大な数の農薬があるということです。それらの物質が食品だけではなく、私達が生活する環境の中に残留してしまうことを残留農薬と呼びます。

残留農薬が起こってしまう原理は?

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どのような原理で残留農薬が起こるのかですが、よくあるのが野菜を育てる時に使われた農薬が、そのまま残留してしまうケースです。

害虫のせいで野菜がうまく育たないことが多いため、農薬を使い対策を行っている農家が多くあります。農薬を使い害虫を駆除することで、より多くの野菜を収穫できるというわけです。他にも農薬には病気から野菜を守るなどの効果もあります。

野菜を育てるために欠かせない農薬ですが、使い方を間違えると農薬がそのまま野菜に残ってしまうリスクも考えられます。そのせいで残留農薬が発生するというわけです。農薬というと野菜を育てる時に使うものというイメージがあるかもしれませんが、他にも残留農薬が起こる環境は様々あります。

例えば乳牛を育てたり食肉用の家畜を育てている畜産農家です。畜産農家でも、牛や豚などが細菌に感染してしまった時、寄生虫を駆除する時などに農薬を使用しています。野菜だけではなく、私達が口にするほぼ全ての食品に、残留農薬のリスクがあるということです。

さらに、食品以外にも私達が生活する環境には農薬が残留するリスクが潜んでいます。家に殺虫剤を常備しているという人もいるでしょう。ゴキブリなどの虫が出た時、殺虫剤があると安心しますよね。家庭用の殺虫剤全てではありませんが、中には農薬を使用しているものもあります。

他にも庭をお手入れする時に使用する除草剤、キッチンやお風呂場のお掃除で使う洗剤に農薬が含まれていることもあるので注意してください。私達が残留農薬の原因を作ってしまうケースもあるということは知っておいたほうが良いでしょう。

農薬には厳しい規制が設けられている!

農薬は非常に危険な物質ということで、誰でも気軽に使えるものではありません。

そのため、国が農薬を使用する上での厳しいルールを設けています。農薬取締法という法律があり、国に認められた農薬しか使用できないことになっています。

一般的に農薬として販売されているものは、国が安全性を認めている商品というわけです。農家のみなさんは国が認めた安全性の高い農薬を使用しているので、農薬を使用して作られた野菜だからといって、闇雲に怖がる必要はありません。

また、残留農薬にも一定の基準が設けられています。残留農薬というと怖いイメージがありますが、農薬が入っているからといってすべての食品が人間の身体に害を及ぼすわけではありません。残留農薬基準というものがあり、一定以下の量であれば残留農薬があっても問題無いと認定されています。

これは厳しいチェックを行い、毎日食品を摂取しても健康に害はないと認定されている量です。私達が普段から口にしている食品の中には少量の農薬が残留しているものもありますが、健康には問題ない量というわけです。

食品表示は残留農薬の目安になる?

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食事をしないわけにはいかないので、少しでも残留農薬のリスクがない食品を選びたいですよね。その時にチェックすべきなのが、商品に記載されているマークです。野菜などの食品には、有機JASマークや特別栽培農産物などの表示がついているものがあります。

これらは、農薬を使用していない、もしくは最小限の量しか使用していないことを示すものです。表示がついていれば農薬が使用されていないと勘違いしている人もいますが、全く農薬が含まれていないことを示すマークではないので注意してください。

あくまで健康に害を及ぼすほどの農薬は残留していないということです。また、全ての食品に農薬に関するマークがついているわけではないので、表示に頼りすぎるのも考えものです。一般的な生鮮食品は、農薬を使用しているかどうか記載する義務はありません。

表示だけで本当に安全かどうかを判断するのは難しいのが現実です。農家さんが農薬を使っていなかったとしても、周辺の住民が使っていた農薬が飛散して野菜についてしまうケースもあるので、自分自身で分析検査でもしない限り消費者が残留農薬をチェックするのはかなり難しいです。

生産者も残留農薬には万全の注意を払っている!

食品の安全性を気にする消費者が多くなったこともあり、生産者も安全性への配慮に気をつけるようになっています。残留農薬に関しても、万全の注意を払っている生産者が多いです。大手メーカーでも徹底した残留農薬のチェックを行うところが増えています。

契約している農場の管理、使用する農薬の管理などには気を配っています。農薬を使ったからといって、必ず残留農薬が起こるわけではありません。一定量であれば自然に代謝されるため、使う量に気をつければそれほど問題ないということです。

農家さんもどの程度の量なら自然に代謝されるのか、基準値を下回るまでにどのくらい時間がかかるのかなどを計算し、農薬を使うようにしています。すべてのメーカー、農家さんが徹底管理しているとは限りませんが、私達が安全な食生活を送れるように努力してくれている人達は多くいます。

野菜やお肉を購入する時は、誰が生産しているのか、どのような管理のもと生産されているのかなどをチェックしておくと安心です。

安全な食生活を送るためにも残留農薬には気を配ろう!

残留農薬は場合によっては私達の健康に害を及ぼすものです。しかし、国も生産者も様々な基準を設け、残留農薬が起こらないように気をつけています。私達の生活環境の中には農薬を使う場面はあるので、自分自身が気をつける必要もあります。

安全な食生活を送るためにも、残留農薬がどういうものなのかをしっかり理解しておきましょう。